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クリスマス

 

柿食えば
鐘が鳴るなり
法隆寺


おはようございます
内藤です

第56回のテーマは「クリスマス」

24日は月曜日なので
一足早くクリスマスについて書きます


冒頭
私の好きな詩人
正岡子規のあまりに有名な一句

ほんと素晴らしい、見事としか言いようのない一句です

晩秋の大和路が一瞬にして思い浮かぶ
そこに鐘の音
歴史ある法隆寺との描写で
侘しさ、寂しさ、切なさ
深み、奥行き、重厚感
全てが鮮明にイメージされます

形容詞を用いずに
ありとあらゆる風景や、その背景、感情までをも形容する

写実にこだわった正岡子規を象徴する一句ですね


そんな正岡

流行物が好きで好奇心旺盛だったようです

当時、一般に広がりつつあったクリスマスを、いち早く俳句に取り入れ
クリスマスを冬の季語として確立させたのが正岡です

外来語自体を季語にしたのが、この正岡のクリスマスが初だとされています


臘八(ろうはち)の
あとにかしまし
くりすます

この時はまだクリスマスが平仮名です

臘八とは12月8日の仏教の行事のこと
その後に訪れるクリスマスという騒がしいものよ

と、最初はクリスマスに対して、あまりいいイメージは持っていなかったようです


晩年
といっても正岡は34歳にして結核のためこの世を去ります

病床に伏すことが多くなった正岡

幼少の頃から体が弱く
その時からいつも自分を支えてくれた年老いた母と妹

家族の温かみ
その大切さを痛感する中で
正岡のクリスマスに対する捉え方も変わっていきます

一家団欒
家族の愛

正岡にとってクリスマスとは、それを象徴するものになります


自身が弱りゆく中
クリスマスをわいわいと楽しむことは出来ないが
世の子供たち、家族たちは楽しくクリスマスを過ごしている
自分もまた家族の愛に支えられている

そんな思いから読んだ一句

一家団欒の景色が鮮明に描かれ
家族愛や平和のメッセージも内在されいてる
これもまた見事な一句です

今日はこの一句をお届けします

 


八人の
子供むつまじ
クリスマス


正岡子規

句集「寒山落木」より